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『紅楼夢』グッズコレクション26

  • 執筆者の写真: 順子 栗原
    順子 栗原
  • 3月15日
  • 読了時間: 2分

今回は展示品から「荷包」を集めてみました。日本では香り袋、匂い袋と呼ばれるもの。中国では旧時、男女共通の装飾品として、お香を携帯する為の実用品として用いられました。

左;清 象牙雕花卉荷包 長八・二公分 故雕一六五

右:清 玉荷包形香嚢 長四・二公分 穂長四公分 故玉八九八五

 香り「袋」、匂い「袋」というと布製の物を思い浮かべますが、象牙や玉でできた物もあります。下部がパカッと開くがま口のような仕組みになっています。透かし彫りになっているので香りしたでしょうが、固形のお香を入れて携帯するのに適しています。お香は自分の服に香りをつけるだけでなく、出先で焚いて芳香剤にすることも。『紅楼夢』第19回「荷包內取出兩個梅花香餅兒來,又將自己的手爐掀開焚上,仍蓋好,放在寶玉懷裡。」、宝玉がふいに襲人の実家を訪れ、襲人一家は大慌て。襲人は宝玉には下々の部屋の匂いが気になるだろうと、お香を焚きます。


清 紅鍛金銀線繍荷包 長一〇・四公分

 故雑七三一〇

一般的な荷包は布製だったと思われます。手の込んだ刺繍を施した物が多く、女性から親愛の男性への贈り物とされることもありました。第17・18回、黛玉は宝玉が下僕たちに自分が以前作ってあげた荷包をやってしまったと誤解し、腹を立てて制作中の宝玉の香袋をハサミでズタズタに切ってしまいます。宝玉は黛玉からもらった荷包を下僕に取られないようにと大事に懷に入れていたのですが。荷包は下賜品としてもよく用いられました。

中に薬をいれて持ち歩くこともありました。第30回、宝玉は自分の荷包から「香雪潤津丹」という清涼剤を取り出し、昼寝中の王夫人の足をもんでいた金釧児の口にこっそり入れてあげます。薬とはいえ、荷袋から出されると何となく艶めかしい感じがあります。この時は目を覚ました王夫人からお咎めを受けて屋敷を追い出された金釧児が自殺するという事件に発展します。第43回、宝玉は王熙鳳の誕生会をほっぽり出し、郊外の廟へ金釧児の供養に出かけます。その際に荷包からお香を出して焚き、金釧児に祈りを捧げています。地味に荷包つながりです。

 その他、尤二姐は檳榔を入れて持ち歩いており、それを賈璉と遣り取りして二人は情を通じます。賈家を追い出された晴雯は実家の粗末な病床で自分の爪を荷包に入れて形見にと宝玉に渡します。荷物は装飾品の中でも男女の間を取り持つ重要なアイテムですね。

 
 
 

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