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『紅楼夢』グッズコレクション24

  • 執筆者の写真: 順子 栗原
    順子 栗原
  • 3月9日
  • 読了時間: 2分

荔枝は日本ではレイシやライチと呼ばれる熱帯の果物。『紅楼夢』ではシロップ漬け荔枝の瓶詰が登場しますが、新鮮な生の荔枝は話題にのぼるだけで登場しません。今回のコレクションはその荔枝を盛ったという瑪瑙のお皿。

清 乾隆 瑪瑙扭絲紋碟

口径一〇・五公分 高二・七公分 故雑三三二

皿の中心に向かって縦筋が連なる紋様。人為の筋と天然のゆらめく斑点が美しく、荔枝を盛ったらさぞ美しいだろうと思われます。

『紅楼夢』第37回、晴雯の台詞。「我也這麼說,但只那碟子配上鮮荔枝纔好看。我送去,三姑娘也見了,說好看,連碟子放著,就沒帶來。」襲人がこの皿を探していたのですが、晴雯が探春に荔枝を届けるのに使い、皿を気に入った探春がそのまま留め置いて、まだもどってきていないのでした。よほど大事な皿らしく、襲人は皿を何度もしつこく催促しています。本文では「纏絲白瑪瑙碟子」とあります。皿一つで襲人の性格を描き出す曹雪芹の筆力を感じます。


皿の傍には清・蒋廷錫の「畫花鳥冊 荔枝」(部分)。こちらも故宮博物院のお宝です。蒋廷錫は康熙朝の官僚ですから曹雪芹の祖父・曹寅と面識があったかもしれません。こうした組みあわせはさすがですね。単にこの絵がないと瑪瑙皿の展示の意味が分かりにくい…ということなのかもしれませんが。

荔枝は第22回、元宵節の灯謎の答になっています。賈母の出した謎は「猴子身輕站樹梢。--打一果名。」。賈政はすぐに答は荔枝だとわかりましたが、「荔枝」は「離枝」と同音で一家離散につながることから、不安を覚えます。その荔枝を届けられた先が探春というのも彼女が遠方へ嫁ぐ暗示なのかもしれません。


 
 
 

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