今回は香港で見つけたティーセットをご紹介します。瀋陽にルーツを持つ曹雪芹は幼年期を江南で過ごし、その後は北京へ来て『紅楼夢』を執筆しました。雪芹の『紅楼夢』は今や中国全国区、なんとも南国っぽいティーセットです。
「十二金釵」とありますが、今回はなかなかに十二人の判別が難しい…
奥で蝶々を追っているのは薛宝釵、琴を弾いているのは林黛玉、立派な帯が垂れているのは元春妃、ちょっと小さいのは巧姐で、格子柄のスカートは妙玉でしょうね。あとは偉そうに座っているのは王熙鳳、しなっているのが秦可卿かな?箱を持っているのは中が書物と考えて賈迎春、扇を持っているのは一説では藩王に嫁ぐ賈探春、奥で花を持っているのは史湘雲で、一人ぼっちで立っているのは出家する賈惜春、残りは李紈、と見ました。
こういう曖昧なツメのあまい絵付けは許せない時もありますが、想像の余地が広がるのも楽しみの一つ。人気の図柄なのか、茶こし付ティーカップや小物入れにも使われています。
紅楼夢関連の品々を大変楽しく拝見させて頂きました。此の様な写真画像を更に挙げて頂ければと存じます。
狭い空間にこれだけ物語の有名場面をぎっしり描くのも、ある程度の技術が要るのではないでしょうか。と、創作者(職人さん?)を褒めてみます。一応遠近法も使っているし。個人的には右奥屏風の代わりに仮山を出張らせて柳を心もち右に寄せ、宝釵奥の水をもう少し見せればいいのに…と思います。華道ではこのような解釈です。